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日本:制度の危機
理系大学院の博士号取得者の進路を比べた場合、日本が最悪国の1つであることはほぼ間違いない。1990年代に、日本政府は、それまでの3倍もの規模である「ポスドク1万人計画」を立て、大学院博士課程の定数を大幅に増やした。目的は、日本の科学力を欧米諸国並みに高めることだった。目標の人数はすばやく達成されたが、彼らポスドクの就職先は今もなお満たされておらず、考えなしの政策だったと厳しく批判されている。 そもそも日本の学界はポスドクなど欲しがっていない。高等教育に進む18歳人口は減少傾向にあり、大学は新たな教員を必要としていないからだ。産業界も同様で、伝統的に、実地で仕事を覚えさせることのできる若くてフレッシュな学部卒業生を求めてきた。ポスドク就職浪人1万8000人を救済・解消する取り組みの1つとして、文部科学省は2009年に、国内で就職浪人中のポスドクを採用した企業に、1人当たり約400万円の補助金を交付する制度を実施した。それでも、思わしい結果は得られていない。 ポスドクと企業の「縁結びはとにかく難しい」と科学技術振興機構の北澤宏一(きたざわこういち)理事長は話す。要するに、新卒の博士に対する求人数が少ないのだ。2010年に自然科学系博士号を取得した1350人のうち、卒業時までに常勤職への就職が決まったのは、全体の半数をやや超える程度(746人)にとどまった。その中で大学の科学・技術関連業務に就いたのは162人に過ぎず、残りの250人は産業界、256人が教育分野に就職し、38人が公務員になった。

こうした暗い見通しもあって、日本では博士課程への進学者数が減少している(図2「博士号授与数の推移」参照)。「日本の労働市場における博士の将来については、全員が悲観論者です」と筑波大学の大学研究センターで科学技術労働力問題を専門とする小林信一(こばやししんいち)教授は話す。

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